心ごと

精神分析学派それぞれの違いについて

こんにちは、心理系大学院生のsunao.と申します。

心理学を本格的に学び始めると、精神分析それぞれの学派に混乱したり、理論の難解さに困惑することになるのではないでしょうか。

 

この記事では、精神分析についての簡単な説明から、精神分析学派それぞれの考え方、それにあてはまる人物それぞれの理論について、詳しく説明したいと思います。

 

精神分析とは?

精神分析という言葉には、一般に3つの意味があります。

1つは、フロイトの夢判断や自由連想法に代表されるような、さまざまな心的現象の無意識的意味の解明方法、つまり精神分析的な方法です。

 

2つ目は、この解明方法を基本とした精神療法、つまり精神分析療法。

 

3つ目は、精神分析的解明方法と精神分析療法によってつくりだされた臨床経験の集大成、およびこれらの経験に関する観念づけと理論構成、つまり精神分析理論のこと。

 

精神分析療法と精神分析心理療法の違い

 

精神分析療法と、精神分析心理療法は似ているようで大きく異なります。違いとしては、

 

精神分析療法    カウチを用いて週4回以上行うことが必要

精神分析心理療法 対面式で週に1回行う。患者と向かい合って行い、対話のスタイルで患者の話したことに分析家が解釈をその都度行っていく。

 

といったふうに、精神分析心理療法は、元来の精神分析療法よりもカジュアルな感じで行うものです。現在では、精神分析療法よりも精神分析心理療法を行うカウンセラーが多いです。

 

フロイト心理学

 

精神分析の元祖、フロイト先生は、シャルコー・ブロイラー・メスメルなどから影響を受けました。

フロイトはその人間観において、性欲を重視しました。性欲を生きるエネルギーの根源として考え(欲動論)、性的なエネルギーのことをリビドーと呼びました。ここで言う性欲とは、狭義の、えっちな意味合いのものではなく、愛着や愛情、親しみ、ぬくもりなど、とても広い意味で使われています。

 

フロイト精神分析

フロイトは人の心について、さまざまなことを発見しましたが、その中でも一番大きな貢献とされるのが無意識の発見です。フロイトは、無意識下に抑圧されたものを意識下させ、患者がカタルシス(気づき)を得ることで神経症症状が治癒されると考えました。

 

この無意識という考えは後の心理療法に大きな影響を与えました。今でも、心理療法の基本は無意識にある考えに対して気づきを得てもらい、解決に導くという手法をとります。「自分の答えは自分が知っている」っていうことですね。

 

フロイト夢分析

 

フロイトの考えでは夢を願望充足の過程ととらえました。患者自身の抑圧された願望が夢となって現れますが、その抑圧された願望そのものが夢として顕在化してしまうことは抵抗を伴うため、超自我によって検閲が行われます。超自我の検閲によって形を変えた状態で夢となって現れるため、その夢を解釈するために分析家の力が必要としました。

 

ユング心理学

 

フロイトの弟子であったユングは、ブロイラー・ジャネなどから影響を受けました。

 

タイプ論

 

人間の性格を内向―外交という一般的態度や思想―感情、感覚―直観というそれぞれを対とした機能から論じました。

 

個人的無意識と集合的無意識

 

ユングは無意識には個人的無意識と集合的無意識の2つがあると考えました。

これらの無意識は意識に対して補償の機能を持っており、意識によって抑圧されたり排除された内容は夢やイメージ、症状などの形で現れます。

集合的無意識が意識に上ることはないが、元型というイメージのパターンとして意識化される場合があります。

意識に上った内容の中で最も創造的な面が認められるものを象徴といい、他にこれ以上適切な表現が考えられないものとされます。

 

○原型の種類 

ペルソナ・アニマ・アニムス・シャドウ・グレートマザー・トリックスター・老賢者・自己

 

ユング心理療法とその考え方

 

ユングは人格のあらゆる側面の可能な限り十分な表現として全体性を考えました。

人間には安定した状態を崩してまでも、より高い次元の統合性を求める傾向があり、意識と無意識を含んだ心の働きの中心としてあるのが自己であるとしました。そのような全体性へと向かう過程を個性化の過程と呼び、人生の究極の目的であるとしました。

 

また、ユングは無意識内容を探求する際、原因を探るのではなくその人の生がどこへ向かっているのかを考える目的論的視点をとりました。

 

 

心の中の状況と外的に起こることが合致してまとまることは、セラピーにおいて重要な意味を持つと考えられています。そのために、ユングは意味のある偶然の一致を重視し、因果律によらない規律である共時性を考えました。事象の原因を探るのではなく、何が起こりどのような意味を持ってそれらがつながっているのかという点に注目します。そこで重要になってくる考え方が布置(constellation)です。

 

布置(constellation)とは、一つ一つの事象や状況がそれだけでは何の関係もないようであってもあるときにそれらが一つのまとまりとして意味が内包されて見えてくることをいいます。ちなみに、constellationは星座って意味もあります。それぞれではバラバラの星でも、星座としてまとめることで意味が生まれるってこと!

 

 

ユング夢分析

 

ユングの考えでは、夢は患者の意識の誤りや未完成なところを知らせ、補ってくれるものです。ユングは夢を見た者の人格と対応させて考える主体水準の解釈と、夢を見た者の外界の生活状況と対応させて考える客体水準の二つの解釈があると考えました。

 

 

▼主体水準 無意識をたとえたもの  犬に吠えられるー焦り・苛立ち

▲客体水準 それ自身の存在     昔吠えられて怖い体験をした

 

夢の内容を連想する際、クライエントの夢と似たテーマをおとぎ話や神話などによって夢の意味を豊かにしていくが、これを拡充法といいます。

 

     

 

 

 

その他の精神分析

 

さて、フロイトユング以外にも精神分析家はたくさんいます。それぞれの学派についても説明していきますね。

 

 

自我心理学

 

自我発達に伴って防衛機制も発達すると考える学派。自我はエス超自我の間の調整機能だけ担っているのではなく、これらの葛藤から離れた自律的自我を持つと考えました。自律的自我は内的環境や外的環境に適応しようとする働きがあります。

社会との関係の中で刺激を受け適応していくことで自我が発達していくってこと。

アンナ・フロイトや、エリクソンなどが自我心理学派に当たります。

 

 

対人関係論(新フロイト派)

 

フロイトの欲動論について批判を行い、文化・社会関係を重視した学派。患者・治療者間の相互作用や人と社会の関係に重点を置いてパーソナリティ発達を考察しました。

Eフロムやサリヴァンが有名です。

 

サリヴァンの「関与しながらの観察」とチャムシップは有名ですよね。

サリヴァンは、児童期の終わり、前思春期の、性器結合を志向する情欲が動機付けの力を持ち始める直前、同性の親しい友人との間で結ぶ水入らずの関係(チャム関係)は「愛の全面開花にはなはだ近いもの」の始まりをもたらすと説明します。

 

このチャム関係は、乳幼児の優しさ欲求に始まる親密性の発達の致達点であるだけでなく、幼少期の家族経験に由来する欠乏、傷つき、歪みを修正する治癒力を持ちます。

逆にこれが築けないとパラタクシックな歪みが生まれ統合失調症になるとされます。

 

対象関係論

 

エディプス期以前における母子関係の自我発達の対象関係を扱う理論です。

対象関係論では、自我や現実適応や実際の対人関係に注目する自我心理学や対人関係論とは異なり、心の中の対象イメージと自我もしくは自己への関係を研究します。

 

対象関係論によって非言語の心理状態の理解が可能になり、BPO統合失調症の研究につながりました。

 

対象関係論について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

 

 

psycheee.hatenablog.com

 

 

対象関係論(中間学派)

 

クラインの「生と死の本能」による本能活動よりも心的発達での母子の交流を重視しました。

ウィニコットは母親をはじめとする環境の失敗こそが子供を相対依存へと向かわせる「脱錯覚」を引き起こすために重要であり、そのために「程よい母親」が必要であるとしました。

程よい母親の条件はだっこ・あやし・対象提示です。

 

その他の精神分析者たち

 

 

ラカン(鏡像段階)

 

幼児は一個のまとまりをもった他者像としての鏡像を通して自分の体の統一性を想像的に先取りして我が物にしていくと考えられています。そこで生後6ヶ月から18ヶ月ころのこの時期を鏡像段階と呼びました。

 

人間はいつまでも鏡像段階に留まることは許されず、成長するにしたがってやがて自己同一性や主体性を持ち、それを自ら認識しなければなりません。その際、言語の媒介・介入は不可欠です。主体性とは構造的に現実界象徴界想像界という3つの領界もしくは機能からなります。

 

 

コフート(自己愛心理学)

 

自己愛の発達過程では自己にまとまりのない断片的な段階から次第に「誇大自己」「理想化された親イマーゴ」と呼ぶ2つの自己愛構造が世話をしてくれる人物、特に親とのやり取りのなかで発達、変容していくとされます。そこでは親の役割として子供の鏡映転移や理想化転移に答えられることが大切と考えました。

 

鏡転移(鏡自己対象転移)

理想化転移(理想化自己対象転移)

双子転移(双子自己対象転移)

融合転移(融合自己対象転移)

 

 

スターン(自己感)

 

乳幼児の発達を新生自己感・中核自己感・主観的自己感・言語自己感からなる4つの自己感の発達という観点から、人生早期の他者との対象関係を述べました。