心ごと

心理学的に見た、発達について

子どもと関わる心理士なら必ず知っておかなくてはいけない発達の知識。それぞれの子どもによって発達のスピードは違いますが、目安として、だいたいの発達段階を押さえておくことで、心理的に子どもを見たとき、どこがまだ成長していなくて、どこから問題が生まれているのか考えるヒントにすることができます。この記事では、子どもの発達について、詳しく説明していきますね。

 

発達について

そもそも、発達には大きくわけて身体的な発達と精神的な発達があります。また、身体的な発達は精神的な発達に大きく影響を与えます。

 

例えば、乳児に視力がついてきた時には、物を区別して見る力や、自分と他者を区別する力の発達に影響してきますし、幼児が一人で歩けるようになった時には、自立する力、歩きまわって探求する力が伸びてきます。

 

つまり、子どもが身体的に成長していくにつれ、自然と精神的な発達も促されていきます。このように、子どもの身体的な発達過程に対応した、目安として考えられる精神的な発達過程を表にしたのが、後述する心理的な発達段階です。

 

精神発達には2つの軸がある

そして、精神発達には大きく2つの軸をもっていると考えられます。世界を学んでいくという認識の発達と、社会性を学んでいくという関係の発達。詳しく説明していきますね。

 

・認識の発達(ピアジェ)

認識の発達とは、主にピアジェが提唱した、まわりのものや、言葉(知識)などの外界(環境)と自分をうまく適応させていくことです。

 

生まれたばかりの赤ちゃんは、おもちゃのガラガラの使い方をしらずに咥えてしまいます。しかし、お母さんが目の前でガラガラと音を立てて使い方を教えてあげることで、やがて赤ちゃんもガラガラをガラガラとして使い、遊ぶことができるように学んでいきます。

 

このように、人は生まれてからずっと、ものや言葉(知識)の適切な使い方を学び、自分のものとして取り入れていきます。こうして認識が発達し、環境により合理的に適応していくのが発達であるとピアジェは考えました。

 

・関係の発達(フロイト)

関係の発達とは、主にフロイトが提唱した、人と人の関係性の発達です。ただ、この関係性というのは言葉で表すと一語ですが、じつに幅広い意味をふくんだ概念です。

 

人間は社会的な生き物であり、まわりの人とのかかわり、関係性をうまくとりながら生きていきます。

 

フロイトは、その人間の関係性の発達を推しすすめる原動力として、お母さんとの情緒的な交流に基づく愛情(リビドー)を提唱しました。 

 

発達段階

発達段階については、フロイトピアジェエリクソンなど、さまざまな心理学者が説明していますが、大まかに見ると、発達段階は一致する考えが多く見られます。ここでは、主にフロイトピアジェエリクソンの理論に身体的発達を加味した発達段階を説明していきますね。

 

 

乳児期(0~2歳くらい)

この時期の子どもは一人では何もできず、手もかかります。お母さんがつきっきりで子育てをする時期です。

 

しかし、裏を返せばそれだけ愛着的で、密な関わりがなされる重要な時期であり、この時期に子どもは「自分は愛されている存在なんだ」という、生に対する肯定的な感情を持つようになります。

 

この時期はピアジェの言う感覚運動期と重なっており、子どもはものの永続性や、因果をやんわりと学んでいき、これらが後の論理的思考の土台となるのです。

 

例えば、この時期の子どもにする遊びとして「いないいないばあ」がありますが、これはお母さんという存在が見えなくなっても、実際に消えてなくなったわけではないこと(対象の永続性)を使った遊びです。

 

幼児期(2~4歳くらい)

この時期の子どもは、フロイトでいう肛門期とほぼ重なり、自分で自分をコントロールしていく力や、自律性を学んでいく時期です。

 

肛門期とはその名の通り、子どもがトイレットトレーニングを始める時期です。

それまでは無力で、何に対しても受動的でなければいけなかった子どもが、自分の衝動(う○ちしたい)をうまくコントロールし、扱えるようになります。

 

この時、おそらく初めて子どもは自分で自分をうまくコントロールし、さらにその結果を親に褒められるという体験から、自律性が育っていきます。

 

また、この頃から7歳ぐらいまでは、ピアジェのいう前操作期にあたります。

まだ自己中心的な思考が抜けきっておらず、おもちゃや物にも、自分と同じように命があると思い込んだり、相手を思いやって自分の気持を押し殺すということはできなかったりします。

 

さらに、ピアジェはこの時期の子どもの見たて遊び(つみ木を電車に見立ててあそぶなどの象徴遊び)が子どもの言語発達を大きく促すと考えました。

 

遊戯期(4~6歳くらい)

この時期はフロイトの言うエディプス期(男根期)と重なり、男女の区別がついてくる時期です。

 

子どもは、異性の親に恋愛的な好意をもつと同時に、同性の親に対してライバル意識をもちます。ただ、同性の親に対しても好意はあるので、ここで初めて子どもは葛藤というものを経験します。

 

その葛藤を乗りこえるなかで、自分の性的なアイデンティティを確かなものにしつつ、自己確立していくというプロセスを踏みます。「我」や「個性」が出てくるのもこの時期です。

 

 

児童期(6歳~12歳くらい)

小学校に入ると、フロイトのいう潜伏期、ピアジェのいう具体的操作期にあたります。

 

エディプス期で芽生えた異性への感情がいったん見られなくなり、小学校という成績で評価される社会の中で、勉強を通して社会に認められていくことが大きな関心になります。

 

また、算数的な思考ができるようになり、それまではできなかった保存の概念の獲得や、可逆的な計算ができるようになります。

 

青年期以降(12歳以降~~)

青年期は思春期とも呼ばれ、フロイトのいう性器期、ピアジェのいう形式的操作期にあたります。

 

学童期では潜在意識においやられていた性欲が、中学校からは健在的に見られるようになります。成人と同じ性欲性をもつことになり、この時期をもって関係性の発達は完成を迎えるとフロイトは考えました。

 

ピアジェは、この時期からは抽象的な思考ができるようになるといいました。いわば数学的な思考であり、三角関数微分積分など、具体的・日常的なものから遠く離れたことに対して、論理的に考える力です。

カウンセリングを受けるとどうなるの?対話に隠された効果について

カウンセラーという言葉がだんだんと日本でも知られてきたものの、まだまだカウンセリングと聞いても何をするもので、どんな効果が期待できるのか分からない人も多いですよね。ここでは、カウンセリングについての説明と、その効果について説明していきます。

 

カウンセリングとは?

 カウンセリングとは、カウンセラーとの(ほとんどの場合は)1対1の対話を通じて、頭の中を整理し、クライエントの頭の中にある答えを引き出したり、一緒に答えを探したりすることをいいます。

 

カウンセリング=占いのアドバイスのように答えをズバズバ言ってくれるものと思っている人も多いですが、それとは全く真逆で、カウンセラーはアドバイスすることはほとんどないし、穏やかに話を聴いてくれる場合が多いです。

  

カウンセリングの効果

カウンセリングと聞いても、実際はどんな効果があるのか、話を聞いてくれるだけで何も起こらないのではないかと思っちゃいますよね。

 

カウンセリングの認知度の低さや、その効果に対する猜疑心から、わたしたちはカウンセリングよりも、人生の答えを一瞬で指し示してくれる占いのほうを好む傾向があります。しかし、実はカウンセリングにも人生の方向を指し示すほどの効果が隠されているのです。その効果について説明して行きますね。

 

考えを整理する

合理的で、いつも一貫した考えの人間などいません。その時によって考えは変わるし、その考えも常に筋が通っているわけではないのです。人はいろんな矛盾した考えや、整理のつかない気持ち、受けとめられない思いなどが頭の中で渦巻いています。

 

カウンセリングの中で、ゆっくりと対話を重ねる中で、自分の発した言葉を丁寧になぞりながら頭の中を整理することで、「あ、もしかしたら自分はこのことで悩んでいたんだ」と気づくかもしれないし、「なんだ、落ち着いて考えてみると大した問題じゃなかったな」と思うかもしれません。

 

悩んでいる本人が自分の問題を一人で考えようとしても、よけいに分からなくなってしまいます。人の頭の中は非合理的で混沌としているからこそ、カウンセラーという、一緒に頭の中の絡まった糸を丁寧にほどいていくお手伝いをする存在が必要なのです。

 

自分を見つめ直す

自分がどう考えているのかというのは、意外と自分でも分からないものです。だって、ふつう忙しい毎日の中では、ふだんじっくりと自分のことを考える余裕がないから。

 

でも、人生の岐路に立ったときなどには、いったん立ち止まって現状を整理し、自分の心の声をしっかりと聞くことが効果的だったりします。

 

カウンセラーと対話しているうちに、自分と向き合う時間が自然と増えます。また、その時間の中で自分の考えのクセやつまずきポイントに気づいたりもします。友達と喋っているうちに、「自分ってこんなこと考えていたんだ」ってふと気づいた経験はありませんか?

 

忙しい日々の中で何かにつまずいてしまった時には、自分を見つめ直すために使うちょっと贅沢な時間として、カウンセリングを受けてみてもいいかもしれません。

 

理解してもらえることが、自分で解決する力を引き出す

人は、情緒的な感情を共有したがる生き物です。何か嫌なことがあったら友達に「ねぇ聞いて!」と報告したいし、嬉しいときにもやっぱり友達に「ねぇねぇ聞いて!!」と報告したくなっちゃいます。

 

これはけっこう大事なことで、人は「自分の感情・気持ちを理解してくれている」と感じると、荒ぶっていた気持ちが穏やかになったり、満足してもっとがんばろうと思ったりします。

 

実は、クレーム対応で一番効果的なのは理詰めや揚げ足取りではなく、傾聴して相手の気持をひたすら受け止めることって知っていましたか?

つまり、自分の気持ちを理解してくれることで、人は満足して次のプロセスに進むことができるのです。

 

苦しい、悲しい、モヤモヤ、言葉にならない感情……カウンセリングでこれらの気持ちをしっかりと受けとめ、理解してくれる存在となることで、クライエント自身も納得して次に進むことができるのです。

 

クライエントの期待に応えられない時の対応

カウンセリングの中で、どうしてもクライエントの期待に応えられない場面というのは出てきます。しかし、ここで機械的に断ってしまうと、クライエントの気持ちを傷つけてしまうことにも繋がりかねません。クライエントの期待に答えられないケースの理由についてしっかりと理解し、うまく断れるよう、ここでは理由を踏まえて詳しく説明していきますね。

 

クライエントの質問に答えてはいけない理由

カウンセリングを続けていると、クライエントがカウンセラーに興味を持ち、「先生に彼女はいますか?」「先生はこの話を聞いてどう思いますか?」などの質問をされることがあります。しかし、カウンセリングにおいては、カウンセラーはクライエントの質問に答えることは控えなければいけない重要な理由があります。その理由について説明していきますね。

 

クライエントの質問の意図を考える機会を奪うから

クライエントがカウンセラーに質問を投げかけるときは、何か意図があることが考えられます。

 

例えば、「こんな自分の話をずっと聞いていて、イヤな気持ちになりますよね?」という人は、自分に自信がなく、相手が自分をどう思っているのか不安で確かめたい気持ちがあることが考えられます。

 

しかし、ここで「そんなことは無いですよ」と返してしまうと、そこで会話が終わってしまい、クライエントの悩みについて考える機会を逃してしまいます。

 

相手の質問の意図を読み取った上で、安易に質問に答えてしまうのではなく、「私がどう思っているのか気になる気持ちがあるんですか?」など、質問に質問で返すような対応が求められます。

 

中立的な立場でなくてはならないから

カウンセラーはクライエントに肩入れしすぎることなく、中立的な立場であり続けなければなりません。クライエントに「この話を聴いて、相手が完全に悪いと思いませんか?」など、評価的な質問をぶつけられた時は要注意です。

 

ここでクライエントに同意してしまったり、変に相手のことをかばってしまうと中立的な立場が崩れてしまいます。どちらに肩入れしすぎるでもない、中立的な立場のカウンセラーだからこそクライエントの話をしっかりと聴くことができるのです。

 

鏡としての役割が果たせなくなるから

カウンセリングはクライエントの為に使われるべき時間であり、セラピストもまたクライエントの為になる存在であるべきです。

クライエントの内省を促すために、カウンセラーは鏡のように、クライエントの心を映し出す存在でいなくてはなりません。

 

質問に答えることで、カウンセラーの個人的な情報がカウンセリングに持ち込まれることで鏡の機能も薄れてしまいますし、カウンセリングが二人の時間になってしまい、クライエントの為の時間ではなくなってしまいます。

 

行為でクライエントの期待を叶えるべきではない理由

質問に答える他にも、カウンセラーが控えなければならないことがあります。クライエントにある行為を求められた時です。

 

例えば、

「私は今まで、どんな男性にも受け入れられてこなくて、自身がないんです。でも、先生にやさしく話を聴いていただけると、安心して、自分に自信が持てそうです。先生が私を抱きしめてくれたら、きっともっと自信が持てると思います。」

 

など、異性との接触に関するものがよく例にあげられます。また、学校などの教育領域では、生徒が殴ってきたり、べったり甘えてきたりすることもあるでしょう。

 

このような場合、カウンセラーが行為でクライエントの期待に答えることはNGとされています。それはなぜなのか、その理由についても考えていきましょう。

 

制限がなくなるから

クライエントとのカウンセリングをより効果的にするために、ほとんどのカウンセリングでは制限が設けられています。そのため、この制限がなくなると、カウンセリングの効果が大きく損なわれてしまいます。

 

「カウンセラーとクライエントが触れ合ってはいけない」というのは、触れてしまうことで二人の間に情緒的な感情が生まれてしまい、それ以降の純粋なカウンセリングが難しくなってしまう為に禁止されています。

 

カウンセラーの役割ではないから

カウンセラーは対話を通じて、クライエントの心を癒やす存在であり、身体的な接触を用いて癒やす存在ではありません。

 

クライエントの行為に応えられない時にどうするべきか?

じゃあ、いったいどう対応すればいいのかと思われたかもしれません。ここでカウンセラーができる対応としては、行為を受け止めるのではなく、感情を受け止めることがあげられます。

 

抱きしめてほしいと身体的な接触を求める人は、それ以前に抱きしめてほしい気持ち、抱きしめてもらうことで何かを埋めることができることを期待する気持ちがあります。

 

カウンセラーが扱うのは、行為に表れている表面的な欲求を満たすことではなく、心の奥の根本的な気持ちを感じとり、理解し、共感することです。クライエントの満足のいくほど理解してあげることで、自然と前に進む力が湧いてくるものだから。

 

行為で期待に答えることは簡単。行為の奥にある気持ちに気づき、しっかりと支えてあげれば、身体で満たそうとしなくても、クライエントは満たされた感覚を持つことができるのです。

甘えとは?「甘えの構造」に学ぶ、甘えについて

「この子は甘えん坊なんです」、「あいつは甘えている」など、日常で広く使われる言葉である「甘え」。実は、日本人に特有の感情って知っていましたか?甘えについて理解することで、精神分析の理論について理解が深まります。この記事では、甘えについて研究した精神分析家、土居健郎の「甘えの構造」の内容をまとめて説明していきますね。

  

甘えとは

 甘えとは、「本来は乳児が母親に密着することを求めること」と定義されます。また、甘えは相手の愛情をあてにする感情であり、相手との一体感を求めるものです。

 

ここで重要なのは、甘えるためにはそれぞれ独立した2者が存在するということと、甘えるためには相手がこちらの意図を理解し受け入れること、甘えが許容されていることが条件として必要ということです。

 

生後間もなく、母子分化のない乳児に対して、「この子は甘えている」とは言いませんよね。子供が成長して、それぞれが独立した存在になってから初めて「この子は甘えている」と言うことができます。

 

また、甘えるとはお互い「甘えが認められる」関係性が必要であり、そのため、両者がお互いに好意をもっていることが前提となります。 

 

甘やかし・甘ったれとの違い

 ここで、似たような表現として「甘やかし」「甘ったれ」との違いを考えてみましょう。

 

これらの「甘やかし」「甘ったれ」と「甘え」の違いは、両者の間に好意が有るか、無いかです。

 

甘やかしと甘ったれには、相手に好意がなかったり、甘えが認められていなかったりする状態。相手に好意がなくても、甘える側の一方的に甘やかす・甘ったれることで成立します。

 

甘やかしは、相手に甘えるふりをさせること、

甘ったれは、甘えるふりをすること。

 

甘やかしも甘ったれも、実際はどちらも甘やかすほう、甘ったれるほうが一方的に甘えているだけなのです。

 

甘えの意味

 甘えにはどんな意味が有るのでしょうか。

まず、甘えの心理としては、土居は「人間存在に本来つきものの分離の事実を否定し、分離の痛みを止揚しようとすること」と述べています。

 

もうすこし柔らかく言うと、「人間はそれぞれ独立した存在で、2人が1人になることはできないけど、最初はお母さんと一つだった赤ちゃんにとっては、それぞれが別々で独立した存在ということはショッキングなことで受け入れることができないので、甘えることでその痛みを和らげようとする」ということでしょうか。

 

しかし、甘えによる一体感・安心感はいわば幻のようなもので、いつかは誰かに甘えることなく独り立ちしなくてはいけません。

 

しかし、逆説的ですが、十分に甘える経験をしないと健康的に独り立ちすることはできません。これは、精神分析の多くの理論で共通して述べられていることです。そして、独り立ちすることで自分を持つことができるようになります。

 

 

対人関係において、際限なく甘えている人は自分がないと言えます。一方で、自分がある人は、時々甘えてしまったとしても自分で自分の甘えに気づくことができます。

 

甘えに関する問題

 甘えの段階を卒業できていないことで、自分を持つことができないという弊害があると言いました。では、なぜ甘える人は十分に甘えることができなかったのでしょうか?

 

甘えられなかった要因はたくさんありますが、ひとつには親の過保護があります。

親が子を甘やかすと、子供はほんとうの意味で親に甘えることはできなくなるのです。

 

それは、実際には甘やかす方(親)が、相手に甘えている関係性になっており、甘やかされた方(子)は相手の甘えに応じているだけで、自分から甘えることができないから。

 

「甘え」と、フロイトのいう「同一化」は同義語であり、甘やかすものは相手の同一化を先取りしてしまうので、相手が同一化する機会を奪ってしまうから、とも説明できます。

「甘やかし」や「甘ったれ」ではなく、「甘え」る経験が必要なのです。

 

「甘え」問題を乗り越えるために

 心理療法やカウンセリングでは、クライエントの話をしっかりと聴くことを通して、過去に満たせなかった甘えの関係性を、カウンセラーとクライエントの間で再び満たそうとします。

 

なぜなら、遅かれ早かれ、十分に甘える経験は必要だから。その上で、自分ひとりで生きていく覚悟をしなくてはならないのです。

 

甘えるということは、現実をみていないということにも繋がります。

いつまでも甘えていては、独立できません。甘えを自分から手放し、一人で生きていく覚悟を決める必要があるのです。

うつ病は予防できる?うつにならないためのメンタルヘルス

うつ病という言葉が日本でも問題視されてきた現在ですが、まだまだ「うつ病ってどんなものなのか」という疑問を持っている方も多くいるのでは無いでしょうか。うつ病は身近な病気であり、うつ病について知り、対策を立てておくことは健康維持のためにも重要となります。この記事では、うつ病の症状から予防法まで説明していきますね。

 

うつ病って?

 うつ病とは、代表的な精神疾患の一つで、ほとんど一日中の気分の落ち込みや不眠、疲労などの状態が毎日、2週間以上つづく状態である病気です。

 

うつ病患者数は年々増えており、現在では73万人もの人がうつ病であると報告されています。また、16人に1人が生涯にうつ病を経験するともされており、だれにとっても身近な病気とされています。

 

 

うつ病の原因

 うつ病の原因は正確には解明されていませんが、現在有力なのはセロトニンノルアドレナリンドーパミンというモノアミンが減少することとうつ病が関係されているだろうとされています。

 

発症のきっかけはさまざまですが、多くはストレスなど、その人にとって心の負荷がかかることで発症するとされています。

 

うつ病の諸症状

 うつ病には、気分の落ち込みなどの心の症状だけでなく、体の症状も表れます。

 

心の症状としては、

 

抑うつ気分

・不安や焦り

・死にたい気持ち

・興味や喜びの消失

・やる気がおきない

・自分を責める

・会話や本の内容が頭に入らない

 

体の症状としては、

 

・眠れない、眠りが浅い

・食欲の減少

疲労感・倦怠感

・動悸・息苦しさ・口が渇く

・体の重さや痛み

 

などがあります。

 

また、洗濯・自炊・掃除などの自身の衣食住に関わることすらやる気がおきない、会社や学校に行けない・もしくは勉強や仕事が身に入らずミスが多い、これまでよりも人付き合いが億劫になるなど、日常生活にも影響が表れます。

  

セルフケアが大事(4つのケア)

 メンタルヘルスでは4つのケアという考えがあります。自分自身による「セルフケア」、管理監督者による「ラインによるケア」、産業医などによる「事業場内産業保険スタッフ等によるケア」、会社外の専門家などによる「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」です。

 

この中でも、まずは自分自身で行うことのできる「セルフケア」の段階で食い止めることが理想です。ストレスチェック制度も始まった現在では、働く人自らが自分のストレスに気付き、予防対処すること、もしくは助けを求めることが重要です。

 

うつを予防する方法

 それでは、うつ病を予防するためにはどうすればいいのでしょうか。うつ病予防に効果があるとされる方法について、いくつか紹介させていただきますね。

 

しっかり休む、生活にゆとりを持つ

 うつ病の回復にまず求められることは「休息」です。生活が仕事で忙しく、心を休ませる暇がなかったり、つねにストレスにさらされていると、うつ病の発症リスクは高くなります。

 

普段の生活から生活にゆとりを持ち、心を休ませる時間を意図的につくることが効果的です。「何もしないで、ボーっとする時間」も健康のためには必要なのです。

 

睡眠

 また、うつ病患者のほとんどには夜に寝つけなかったり、昼夜逆転などの睡眠障害が見られます。成人に必要な睡眠時間は7~8時間とされていますので、常日頃から睡眠をじゅうぶんにとって、生活のサイクルをしっかり回すことが、基本的なようでかなり効果的な予防策になります。

 

食事

 うつ病の発症する原因はモノアミンが関係していると説明しましたが、幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンは食事で取る事ができます。

 

セロトニンは、トリプトファンという物質から作られるのですが、トリプトファンは肉類やチーズ、納豆、たらこ、牛乳などに多く含まれています。

 

また、トリプトファンは睡眠と関係の深いメラトニンという物質の原料でもあります。これらの食材を意識して取るようにすることで、うつ病予防効果が期待されます。

 

太陽光を浴びる

 太陽光を浴びることでセロトニンが増えますが、そのセロトニンは夜になると眠りを促すメラトニンに変化します。つまり、日中に太陽光を浴びることで夜に眠くなり、規則正しい生活に繋がります。

 

洗濯物を外で干す、朝にウォーキングを取り入れてみるなど、太陽光を浴びることを意識してみましょう。

 

相談する

 うつ病の症状のひとつに、罪業妄想というものがあります。「嫌なことがあっても、それは自分ひとりが悪いからだ」などと、自分で自分を罪深くしてしまうような思考のことです。

 

このように、うつ病になると健康な状態ならできていたはずの正常な判断や思考ができなくなります。悩みや、辛いことがあったときには、一人で抱え込まずに誰か身近な人に相談する習慣をつけておきましょう。

 

 

認知行動療法(CBT)

人には、それぞれ自分自身の考え方、価値観があります。なので、当然うつ病になりやすい考え方や思考を持っておる方も存在します。

 

例えば、「ぜんぶ自分のせいだ」と責任を一身に引きうけてしまう考え方や、答えの出ないことをずっと考え込んでしまいやすい考え方などです。

 

これらの考え方は、認知行動療法(CBT)という心理療法によって変えることがあります。自分の考え方のパターンを客観的に分析し、いつも悪い方に考えてしまう思考パターンを変えることで、悩みが減ることが期待できます。

 

 

コントロール感を持つ

人間は、生活にコントロール感を持てていないとストレスを感じるという研究結果があります。例えば、同じ仕事でも「やらされている」と感じるのと、「自分の意志でやっている」と感じるのではストレス度合いが大きく変わってきます。

 

仕事は変えることはできなくても、考え方を変えることはできます。すこしだけ心持ちをポジティブに、積極的に変えるだけで、今後の心の健康度がおおきく変わってくるかもしれません。

ウィニコットの理論について

対象関係論のなかでも、特に人気があるウィニコット。人との関わりを重視した、優しい理論を展開しています。この記事ではウィニコットの理論や用語について説明していきますね。

 

ウィニコットの理論の概要

 ウィニコットの理論の中核をしめるのは「早期乳幼児の発達理論」です。

 

ウィニコットはもともと小児科医として活動していました。そのため、ウィニコットの理論は人との関わりを特に重視しています。

 

幼児がいるところには必ず母親の育児があるし、母親の育児がなければ幼児は存在できないことから、幼児と母親は分けて考えられるものではない。幼児と母親は育児という関係において常にひとつの単位を形成していると考えたのです。

 

ウィニコットは、前言語的段階にある乳幼児を分析対象とすることから、乳幼児を「抱える」母親をも含めた「母子関係」を基本的な分析単位として独自の理論を展開しました。

 

依存について

 また、ウィニコットは依存を重視し、依存を治療の中で許容していく治療態度を取りました。

ウィニコットは、「依存への退行こそがそれまでに停頓していた情緒発達を前進させる契機となる」と述べています。それでは、ウィニコットの考える依存の段階について説明していきますね。

 

絶対的依存段階

 妊娠最終期から2.3ヶ月までの期間。この段階では、母親は乳児が生きるための欲求をあたかも自分自身の欲求のように感じ、それを満たすことに専念する生活をします。(母親の原初的とらわれ状態)

 

母親の原初的とらわれによって作り出された、子供を支える環境(holding)は、そのまま子供の成長と共に子供の心の中に取り入れられ、子供の心の中で自分を支えるお母さんとなり、肯定的な自己認識の基盤となります。

 

自分の心の中にお母さんがいることで、子供は一人でいることができる能力を獲得します。

 

 

相対的依存段階

 生後5ヶ月から6ヶ月頃に、子供は視覚が発達し、自己と他者の区別がついてきます。このことは子供にとって大きな影響を与えるし、ウィニコットも重要な移行段階だと考えます。この段階の子供は、主観的対象である母親の顔に反映した、母親にとっての対象である自分を見ています。(鏡の役割)

 

独立への方向

 上記の、これらのようなことが確立されると、子どもは社会と同一化することができます。本当の独立は、社会のできごとに巻きこまれながら、満足な独自の存在を生きる子供の中に発達します。

 

 

不安から罪悪感、罪悪感から思いやりへ

不安とは、自分の心の中の攻撃性に気づいておらず、自分の存在そのものがお母さんを傷つけてしまうのではないかという不安です。

 

自分の中の攻撃性に気づき、傷つけるのは自分の攻撃性のせいだと気づくこと、またそのことに自分で責任感を持つことで不安が罪悪感に変わります。

 

愛するお母さんを自分が傷つけてしまったという罪悪感は、子供にとってショッキングなことです。しかし、その子供の罪悪感にもかかわらず、母親が生きつづけることで、自分が傷つけた母親の傷を修復する機会が与えられるに違いないという確信が生まれ、罪から思いやりに変わります。

 

思いやりとは、自分の中の攻撃性で相手を傷つけるかもしれないということをふまえながら、相手をいたわる気持ちのこと。思いやりを持つことで、アンビバレンスに耐えられる、エディプス葛藤を体験できます。

 

 

 

自己心理学とは?コフートの理論に学ぶ、自己愛の原因について

自己心理学とは、精神分析家であるコフートの自己に関する臨床的知見をもとに作られた理論のことです。1960年台から起こり、特にアメリカでは自我心理学と並び独自の学派を形成しました。

 

自己心理学を学ぶことで、自己愛性パーソナリティ障害や自己愛という概念について理解しやすくなります。この記事では自己心理学の始まりから理論の解説までしていきますね。

 

自己心理学の始まり

自己心理学はもともと、コフートの臨床的な経験から始まっています。コフートは自己愛性パーソナリティ障害の特徴を持つ患者との治療における行き詰まりについて考察したのがきっかけです。

 

コフートは、患者がカウンセラーに向ける独特の抵抗を抵抗と見なすのをやめて、自分自身をどう体験しているのかを語ってもらいました。すると、その過程でカウンセラーが共感的に同調する態度によって治療が急速に進むことに気がついたのです。

 

さらに、コフートは患者がカウンセラーをどう体験しているのか、という【自己対象体験】と呼ばれる要素が治療を左右すると考えるようになりました。そこから、コフートは自分の理論を構築していきます。それでは、コフート理論について説明していきますね。

 

コフート理論について

自己心理学では、【自己対象】と乳児との関係性が重要とされています。

【自己対象】とは、乳児と母親がまだ分化した存在ではなく、乳児が自分の一部として感じる母親であり、また、乳児に共感的な環境を与える母親のことをいいます。

 

そして、【太古的自己対象ニード】と、【理想化対象】という2つの欲求が自己対象との関わりで満たされることで、乳児的(太古的)自己の自己愛が適切に発達していきます。

 

【太古的自己対象ニード】とは、乳児と母親がまだ分化した存在ではなく、乳児が自分の一部として感じる母に対する、乳児自身の心理的な欲求を感じ取ってもらい満たしてもらう期待のこと。

 

【理想化対象】とは、100%完璧な母親像みたいなもの。

 

この欲求を満たすために、自己対象としての母親が乳幼児に対して果たすべき2つの役割があります。それが鏡としての機能と、理想化の対象としての機能。詳しく解説していきますね。

 

鏡としての機能

乳児的(コフートで言う太古的)な自己は、生まれながらにして生きることへの確固とした自信を持っていて、その生を支える環境を当然のように期待しています。

「俺様は生きるに値する人間なんだ、腹が減ったらミルクがでるしお漏らししたらおむつ替わって当たり前だぜチェケラ」みたいな万能感。

 

自己対象としての母親は、乳児の万能感を鏡のように移し返す役割が求められています。乳児はまだ自分のことを自分で見ることができないので、相手が見る自分を通して自分を知る段階が必要となるのです。鏡を見て初めて自分の顔がわかるみたいな。

 

乳児にとって共感的な環境のもとで、誇らしげに展開する乳児の万能的な自己を映し出すことで、その展開を促進する機能があります。逆に、鏡が曇ってたら自分の顔が汚れてるのかと錯覚しちゃうよね

 

そうした共感的な自己対象が与えられて始めて、自己は幼児的な自己対象ニードから抜け出し、より成熟した形の自己対象から自己愛的な満足を得られるようになるのです。

 

理想化の対象としての機能

成長とともに、「世界はなんでも思い通りになるぜ」みたいな万能感は現実とのすり合わせで失われていきます。そこで、幼児は成長とともに失われゆく万能感をなんとかつなぎとめようと、自分の万能感を理想化対象に託し、それと関わりを持ち続けることで万能感を保持しようとするんです。

 

しかし、100%完璧な親はいません。適切な条件のもとで、子供は理想化された対象(イマーゴ)に対して共感不全による失望を覚え、理想像はだんだんと現実的なものに訂正、修正されます。

 

それに伴って理想化された自己対象への自己愛的リビドー備給は撤回され、理想化された自己対象の内在化(変容性内在化)に進みます。

変容性内在化とは、「以前は対象により遂行されていた機能のあるものを遂行する能力を獲得すること」。

 

しかし、理想化できる対象に恵まれず、適切な内在化が行われなかった場合、小児は幼児的(太古的)な自己対象に固着したままで、いつまでも心的構造の欠損部分を埋めるために対象に依存、渇望し続けることになる。これは自己愛的パーソナリティ障害に特徴的な状態。

 

これら2つの、自己対象が果たす役割は重要で、これらの段階を踏まないと前に進むことはできません。そのため、セラピーの中でカウンセラーがクライエントの自己対象となり、治療的に活性化する役割を果たさねばなりません。それぞれ、鏡転移と理想化転移として扱われます。

 

自己愛性パーソナリティ障害の過敏な心の背景

自己愛性パーソナリティ障害は、幼少期から続く無意識的な誇大イメージを持っている状態です。幼いままの万能感的な自己像と、現在の自己像とのギャップが原因となり、対人関係において敏感になったり不安になったりしてしまいます。自己愛の状態は、高すぎる目標設定や、突然の大胆な行動に反映されます。